Image: CRTのアノードキャップの取り外し・取り付け方

EIZOのCRTを分解・整備する機会があったので、それに関連するノウハウを書いていこうと思います。

CRTディスプレイのカバーには必ず「高電圧危険」といった警告文が書かれています。どこに高電圧が掛かっているかというと、CRTディスプレイのカバーを外すと、ブラウン管(CRT)にこのような吸盤が付いています。この吸盤の中央には金属のフックがあり、ブラウン管に引っかけるように接続されています。動作時はこの部分に2万ボルト超という高電圧が掛かっています。ディスプレイの機種によっては電源を切ってからもここに電荷がチャージされたままの場合があり、これを放電せずに触ると静電気のようにバチッときます。場合によっては流入創が残ったり、電気の流れる量と場所が悪ければ心筋障害や意識障害に至ることがあるかもしれません。2万ボルトが活線ならアークでたちまち身体が燃えますが、ブラウン管程度の静電容量ではそこまで大事にはならないでしょう。でも万全を期して臨んだ方が良いことに変わりありません。

作業する時の服装

乾電池のプラスだけを繋いでも電気は流れないことと同じで、電流は閉回路でないと流れません。感電して身体に電気が流れるときも、電流の入り口があるなら出口もあります。何が言いたいのかというと、ゴム手袋をするだけでは対策としては万全ではないということです。長袖長ズボンで肌の露出はなるべく減らして、靴下、スリッパ、靴を履いたりダンボール等を敷いたりすることもリスク低減に多少効果があるでしょう。

放電用のアース線を作る

放電に使う線は内部の信号用配線に使うような細すぎるものじゃなければ何でも。途中には数kΩ 1W以上の抵抗器を挟んでおくとより良いでしょう。私は3.3kΩ/3Wの酸金抵抗を使いました。

Image: アノードキャップ放電

アノードキャップの外し方

まず、コンセントは抜いてから作業しましょう。当たり前と分かっていてもあえて言います。

アース線の片方をフレームグラウンドに接続します。端子を圧着してネジ止めできるようにしておくとより安全です。もう片方をアノードキャップの頭や周囲に触れさせます。

吸盤をぴらっとめくると中心に金属のフックが見えるので、そこにもアース線を数秒間触れさせます。

フックは中で外側に向けて引っかけてあるので、吸盤を片方向に押しつけるようにしてずらしながら斜めに持ち上げると、うまく外せると思います。吸盤の頭をつまんで外せれば形としては理想的ですが、実際にはなかなか難しいです。

吸盤の裏にべっとりとした油のようなものが付いていることがありますが、これは電気絶縁用のグリスです。詳細は後述。エタノール等で綺麗に拭き取りましょう。

アノードキャップの付け方

アノードキャップの取付部周辺や吸盤にゴミが付いている場合はそれを取り除きます。

吸盤の取付面に電気絶縁用のシリコングリスを塗ります。ただし中心の端子部分から半径10mm以内は何も塗らず綺麗なままにしておきます。このシリコングリスはEIZO製モニターの場合、信越化学工業 KS-650Nが推奨されていて、現在もAmazon等のショップで購入できます。

Image: 信越化学工業 KS-650N

外したときと逆の手順で取り付けます。そのまま水平に押し込んで付けようとするとブラウン管の穴の周りに傷が付いて絶縁性能が落ちる原因になるので、注意して下さい。

アノードキャップに繋がるリード線はあまりブラウン管に近づけると電磁的な悪影響を及ぼすので、フレーム等にインシュロックで固定して離しておくと良いでしょう。(金属フレームにくっつけすぎるのも問題ありますが。)通常は既にクリップで固定されているはずです。


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